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不動産公開 2026-09-30 ・ 更新 2026-09-30

日銀の利上げで住宅ローンはいつ上がる?変動と固定の損益分岐

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利上げと変動金利の損益分岐

日本銀行は2026年9月18日、政策金利を「1.0%程度」から「1.25%程度」に上げると決めました。9月24日からです。では変動金利の住宅ローンは、明日から上がるのか。上がりません。日銀の金利が家計の返済に届くまでには、関所が3つあります。過去の利上げでは、1つ目の関所を越えるだけで1〜2か月かかっていました。そのうえで「今のうちに固定へ借り換えるか」を数字にすると、答えは「変動がいつ上がるか」で大きく入れ替わります。

書いている私は、相場のロジックを100以上検証してきたシステムエンジニアです。住宅ローンの専門家ではないので、数字は日本銀行・国土交通省・住宅金融支援機構の原文を開いて確かめたものと、前提を全部書いた自分の計算だけにしています。

先に1分チェック

  1. あなたのローンは変動金利ですか、固定期間選択型ですか、全期間固定ですか。この記事の前半は変動金利の人向けです
  2. 返済予定表に「適用金利の見直し日」と「返済額の見直し日」は書いてありますか。最後の節で使います
  3. 今の残高と、残りの年数はわかりますか。後半の借り換えの計算に当てはめます

金利が1%上がると毎月の返済がいくら増えるかは、3,500万円・35年で計算した記事で出しました。今回はその手前、「上がるとしたら、いつ、どの順で届くのか」と、その先にある「固定へ移るか」の損得を見ます。

日銀の金利は、3つの関所を通って返済額に届く

日銀が動かしたのは、銀行どうしが1晩だけお金を貸し借りするときの金利(無担保コール翌日物)です。住宅ローンの金利そのものではありません。そこから家計の返済まで、順に見ていきます。

関所2と3の間隔や基準にする日は、銀行・商品ごとに違います。公的な資料で確かめられたのは「年2回」「5年ごと」が標準的だという所までで、何月何日が基準かは契約書を見るしかありません。

過去4回の利上げでは、短期プライムレートは1〜2か月遅れで0.25%ずつ動いた

関所1がどのくらいの速さで動くのかは、日銀の統計で確かめられます。「短期プライムレート(主要行)」の最も多い値(最頻値)と、日銀の政策金利の変更日を並べました。

政策金利(適用日)短期プライムレートの最頻値(変更日)
0.25%程度(2024年8月1日)1.625%(2024年9月2日)
0.5%程度(2025年1月27日)1.875%(2025年3月3日)
0.75%程度(2025年12月22日)2.125%(2026年2月2日)
1.0%程度(2026年6月17日)2.375%(2026年8月3日)
1.25%程度(2026年9月24日)まだ統計に出ていない

出典:日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(各回の公表文)、「長・短期プライムレート(主要行)の推移」(2026年9月16日更新・9月11日現在)。いずれも2026年9月30日確認。最頻値は主要な銀行が採用した金利のうち最も多いもの

4回とも、政策金利が0.25%上がったあと、短期プライムレートの最頻値も0.25%上がっています。同じ幅です。遅れはおよそ1〜2か月。今回の利上げの分は、9月11日時点の統計にはまだ入っていません。

ただしこれは過去の動き方で、今回も同じになるという約束ではありません。統計の注記にも、個別の銀行の金利は各行が決めるとあります。

関所1を越えても、返済額が変わるのはさらに先です。適用金利は年2回の見直しを待ち、返済額は5年ごとの見直しを待つことが多い。つまり「利上げのニュースの翌月に返済が増える」とは限らず、そのかわり、増えていない間も利息は増えています。この遅れの裏側は金利1%上昇の記事で未払利息として計算しました。

今、固定へ借り換えると毎月36,483円増える

関所があるとわかると、次に浮かぶのは「上がる前に固定へ移ったほうがいいのか」という問いだと思います。仮の人で計算します。

残高3,000万円、残り25年(300回)、元利均等返済(毎月の返済額が一定になる返し方)、ボーナス返済なし。今の変動金利の適用金利を年1.0%と仮定します。移る先の固定金利は年3.46%と置きました。住宅金融支援機構が公表している2026年9月のフラット35(全期間固定のローン)の金利は、借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下で年3.460%〜5.690%。3.46%はその範囲の下の端で、最も多い金利です。

条件毎月の返済額25年の総返済額
変動1.0%がずっと続いた場合113,061円約3,392万円
固定3.46%へ借り換え149,544円(+36,483円)約4,486万円(+約1,094万円)
損益分岐:変動が1年後に上がるなら年3.66%以上で固定のほうが少なくなる(諸費用50万円なら3.77%)
損益分岐:5年後に上がるなら年4.73%以上(諸費用50万円なら4.89%)
損益分岐:10年後に上がるなら年7.38%以上(諸費用50万円なら7.64%)

筆者の計算。毎月額は元利均等の式(残高×月利×(1+月利)^回数÷((1+月利)^回数−1))で出して円未満切り捨て、毎月の利息も円未満切り捨て、端数は最終回で調整。損益分岐は、変動が1.0%のまま1年・5年・10年たったあと一度だけ上がり、その金利が最後まで続くとして、上がった月に残高と残り回数で返済額を計算し直した場合(5年ルール・125%ルールは入れていない)。諸費用50万円は仮の額。お金の時間的な価値・団体信用生命保険・保証料は入れていません

25年ずっと同じ金利なら、分岐はそのまま3.46%です。当たり前の結果ですね。ところが今の変動は1.0%なので、低い金利で払える期間が長いほど、並ぶために必要な金利は高くなります。1年後なら3.66%、5年後なら4.73%、10年後なら7.38%。上がる時期が遅いだけで、分岐はここまで離れます。倍以上です。

借り換えの諸費用(事務手数料・登記の費用など)を仮に50万円入れると、分岐はどれも0.1〜0.3%ほど上に動きます。費用の分だけ、固定のほうが元を取るのに大きな金利上昇が要るからです。

そして私は、金利が何年後に何%になるかを予想できません。なのでこの表から「固定にすべき」とも「変動のままでいい」とも言いません。言えるのは、損得の境目は「どこまで上がるか」と「いつ上がるか」の2つで決まる、ということだけです。

「固定にすれば安心」を、質問2で読む

このブログでは、お金の話に3つの質問を当てています。2つ目は「自分が損する場合は書いてある?」。借り換えの話はとくに、損する側が片方しか語られないことが多いので、両方並べます。

「固定なら安心」は、25年間149,544円のまま返済額が読めるという意味では正しい。「変動のほうが得」も、1.0%が続く限りは毎月36,483円少ないので正しい。どちらも、損する側を書いていないだけです。

この計算が当てはまらない人

私ならこうする

書き手のアイコン書き手

私なら、借り換えを考える前に返済予定表で2つの日付を確かめます。適用金利が次に見直される日と、返済額が次に見直される日です。今回の利上げが自分の返済に最初に届くのがいつか、ここで決まります。

次に、自分の残高・残り年数・今の適用金利で、上の表の損益分岐を出し直します。仮の人の3.66%や4.73%は、あなたの数字ではありません。固定の金利は、借り換え先が実際に出す金利と諸費用の見積もりを入れて比べます。

そのうえで私が見るのは、損益分岐より「変動のまま上がったとき、毎月いくらまでなら払えるか」です。家を貸している人なら、不動産の利回りを実質で計算した記事と同じやり方で、返済の増加分を収支に入れておきます。上がったときのために手元の現金を厚くするなら、預金保険で守られる範囲もあわせて見ておくと置き場所を決めやすくなります。

この記事でわからないこと

次にやることを1つ挙げるなら、返済予定表を出して「次の適用金利の見直し日」に丸をつけてください。そこまでが今日の分です。

変動金利が何年後に何%まで上がったら、あなたは固定のほうがよかったと感じますか?

日本銀行・国土交通省・住宅金融支援機構の公開情報をもとに、制度の一般的な仕組みを説明したものです(2026年9月30日確認)。個別の住宅ローンの借り方・借り換えの助言ではなく、特定の金融機関や商品をすすめるものでもありません。計算例は仮の人の前提を置いたもので、実際の返済額や将来の金利を示すものではありません。

よくある質問

日銀が利上げすると住宅ローンの変動金利はいつから上がりますか

すぐには上がりません。日本銀行の統計では、過去4回の利上げのあと、短期プライムレートの最頻値は約1〜2か月後に0.25%上がりました。そこから適用金利は年2回、返済額は5年ごとに見直すのが一般的とされますが、時期は銀行・商品ごとに違うので返済予定表で確かめてください。

変動から固定に借り換えると毎月いくら増えますか

残高3,000万円・残り25年・元利均等で、変動1.0%から固定3.46%に移る仮の人では、毎月113,061円が149,544円になり、36,483円増えます(筆者の計算)。金利・残高・期間で変わります。

固定への借り換えの損益分岐は何%ですか

上の仮の人で、変動が1.0%のまま1年後に上がるなら3.66%、5年後なら4.73%、10年後なら7.38%で総返済額が並びます(諸費用を入れない場合の筆者の計算)。上がる時期と幅の両方で変わり、この記事では将来の金利は予想していません。