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年金・老後公開 2026-10-06 ・ 更新 2026-10-06

年金の繰上げ受給のデメリット|60歳からだと24%減が一生続く

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年金の繰上げ受給のデメリット

年金を60歳から受け取ると、額は24%減ります。65歳になっても戻りません。一生そのままです。しかも、あとから取り消せない。

減るだけなら計算で済みます。私が原文を読んで引っかかったのは、減る話の下に並んでいた「もらえなくなるもの」でした。障害年金の一部、寡婦年金、国民年金の任意加入。早く受け取る代わりに、手放す権利があります。

書いている私は、相場のロジックを100以上検証してきたシステムエンジニアです。年金の専門家ではないので、日本年金機構と厚生労働省の原文を開いて確かめた内容と、前提を書いた自分の計算だけを載せています。

先に1分チェック

  1. 治療中の病気や持病がありますか。ある人は、障害年金の節を先に読んでください
  2. 60歳から65歳の間に、会社員として働くか、失業保険を受け取る予定がありますか。
  3. 国民年金に、保険料を払っていない期間や免除された期間がありますか。

1つでも「はい」なら、減額率より先に確かめる行があります。全部「いいえ」の人は、次の計算が判断の中心になります。

減り方は1か月0.4%。60歳0か月で24%

繰上げ受給は、原則65歳からの年金を60歳から65歳になるまでの間に前倒しで受け取る仕組みです。日本年金機構の式はこうなっています。

減額率=0.4%×繰り上げた月数(昭和37年4月2日以降に生まれた人。それより前に生まれた人は1か月0.5%)

請求したときの年齢減額率年200万円の人の年金
60歳0か月24.0%152万円
62歳0か月14.4%171.2万円
64歳0か月4.8%190.4万円
65歳(繰上げなし)0%200万円

出典:日本年金機構「年金の繰上げ受給」の早見表(2026年10月6日確認)。右の列は筆者の計算で、65歳から年200万円(額面)を受け取る仮の人に減額率を掛けたもの

率は月単位で決まります。日本年金機構は「手続きを行った時点で繰上げ減額率が決まります」と書いています。請求を1か月遅らせれば0.4%戻る。小さい。でも年200万円の人なら年8,000円で、これも一生続きます。

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として同時に繰り上げます。片方だけ早く、はできません。ここは繰下げと逆でした。

年200万円の人で計算:65歳から受け取る人に、20年10か月で追いつかれる

早く受け取れば、最初のうちは累計で先を走ります。では、いつ追いつかれるのか。年200万円の人が60歳・62歳・65歳から受け取り始めた場合を並べて、月単位で1か月分ずつ足していきました。

受け取り開始75歳まで80歳まで90歳まで
60歳から(年152万円)2,280万円3,040万円4,560万円
62歳から(年171.2万円)2,226万円3,082万円4,794万円
65歳から(年200万円)2,000万円3,000万円5,000万円

筆者の計算。額面の累計で、税・社会保険料・物価による年金額の改定は入れていない。その歳になった時点までの合計。万円未満は四捨五入

60歳から受け取った人は、80歳の時点でまだ40万円多い。並ぶのは80歳10か月です。その翌月から、65歳で受け取り始めた人のほうが多くなります。90歳では440万円の差がつきます。

62歳から受け取った人が並ぶのは82歳10か月、64歳からなら84歳10か月でした。どれも受け取り始めてから20年10か月後です。式を解くと、1÷0.004=250か月。何歳で繰り上げても、この長さは同じになります。

20年10か月は長いのか短いのか。厚生労働省の令和7年簡易生命表では、60歳の人の平均余命は男性23.86年、女性29.07年でした。平均で見れば、並ぶ時点のほうが先に来ます。ただ、平均は自分の寿命を教えてくれません。ここは計算で決まらない。

反対に、受け取りを遅らせる側の計算は年金を繰り下げたら何歳で元が取れるかに書きました。あちらは1か月0.7%増で、並ぶまで11年11か月。減る率と増える率が違うので、並ぶまでの長さも違います。

質問2で読む:減る・失う・止まるの3つに分ける

このブログでは、お金の話に3つの質問を当てています。今回は2つ目、「自分が損する場合は書いてある?」です。

繰上げの説明は、損益分岐の年齢で終わることが多い。でも日本年金機構のページには、注意点が13項目並んでいます。そのまま読むと長いので、3つに分けました。

1. 減る(全員に当てはまる)

2. 失う(当てはまる人だけ。ここが見落としやすい)

3. 止まる(60代前半に働く人・失業保険を受け取る人)

3番目が、いちばん割に合わない形です。24%減らして受け取り始めたのに、働いている間はその一部が止まる。二重です。止まっている間も、24%という減額率は変わりません。60歳で退職して失業保険を受け取るつもりの人は、順番を先に確かめる行です。

この計算が当てはまらない人

私ならこうする

書き手のアイコン書き手

私なら、損益分岐の年齢より先に「失う」の5行を自分に当てます。持病があるか。保険料を払っていない期間があるか。ここで1つでも当たれば、年金事務所で聞くまで請求しません。取り消せない手続きなので、聞いてからで遅くない。

どれも当たらなければ、次に60歳から65歳までの生活費を数えます。足りない額が月いくらで、何か月分か。5年分を丸ごと繰り上げる前に、足りない月数だけ繰り上げる形を見ます。1か月遅らせるごとに0.4%戻るからです。

老後にいくら要るかの見当がまだ付いていない人は、「老後2,000万円」の前提を確かめた記事が先です。足りない額が出ないと、繰り上げる月数も決まりません。

長生きするかどうかは分かりません。だから私は、当たり外れを読む計算より、取り返しのつかない行を先に潰します。

この記事でわからないこと

次にやることを1つ。ねんきん定期便かねんきんネットで、65歳からの見込額を見てください。その額に0.76を掛けた数字が、60歳0か月で繰り上げたときの年金です。

その額で、65歳から先の20年を暮らせそうですか?

日本年金機構「年金の繰上げ受給」(更新日 2024年8月19日)、厚生労働省「令和7年簡易生命表の概況」をもとに、制度の一般的な仕組みを説明したものです(2026年10月6日確認)。計算は年200万円の仮の人の額面で、あなたの年金額を示すものではありません。受け取り方の個別の相談は年金事務所へ。

よくある質問

年金の繰上げ受給は、あとで取り消せますか

取り消せません。日本年金機構は、繰上げ請求した後は取消しできないと書いています。減額率も一生変わらず、65歳になっても元の額には戻りません(日本年金機構「年金の繰上げ受給」、2026年10月6日確認)。

60歳から受け取ると、何歳まで得ですか

額面の累計では、80歳10か月で65歳から受け取った人と並び、その翌月から下回ります。繰り上げた年齢に関係なく、受け取り開始から20年10か月後に並びます(筆者の計算。減額率1か月0.4%、税・社会保険料は入れていません)。

繰上げ受給をすると障害年金はどうなりますか

繰上げ請求した日以後は、事後重症などによる障害基礎年金・障害厚生年金を請求できなくなります。日本年金機構は、治療中の病気や持病がある人に注意を呼びかけています。対象になるかどうかは年金事務所で確かめる部分です。