在職老齢年金は62万円?2026年4月からの基準は65万円
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働きながら年金を受け取る人の年金が減り始める線は、2026年4月から月65万円です。よく見る「62万円」は、法律が成立した2025年6月の時点の額でした。給与と年金の合計が65万円以下なら、年金は1円も止まりません。
62万円と65万円。3万円の差ですが、ぎりぎりで働く時間を決めている人には効きます。
先に1分チェック:この記事はあなた向け?
- 60歳を過ぎても、会社で厚生年金に入って働きますか。入らない働き方(個人事業など)なら、この仕組みは関係ありません
- 老齢厚生年金を受け取っていますか(受け取る予定ですか)。止まる対象は厚生年金の部分だけです
- 賞与(ボーナス)がありますか。あるなら、線を越えるかどうかの計算に効いてきます
3つとも「はい」の人が、この記事の相手です。
質問1で見る:「62万円」の出典は?
このブログでは、お金の話に3つの質問を当てています。今回は1つ目、「その数字の出典は?」です。
62万円の出どころをたどると、厚生労働省のページに行き着きます。そこにはこう書いてあります。「改正後の支給停止基準額(62万円)は、法律成立時(2025年6月)の額です」。続けて「2026年4月からは65万円になります」。
なぜ額がずれたのか。日本年金機構の説明では、この基準額は毎年度、賃金の変動に合わせて改定されます。法律の数字は成立した時点の物差しで、施行の年度には物差しが動いていた。だから両方とも嘘ではありません。ただ、今年の働き方を決めるのに使うのは65万円のほうです。
ちなみに見直しの前、2024年度の線は50万円でした(厚生労働省)。そこから見れば15万円上がっています。
止まる額の式は1本だけ
日本年金機構の式はこうです。
- 基本月額=老齢厚生年金の報酬比例部分の月額(加給年金は入れない)
- 総報酬月額相当額=その月の標準報酬月額+その月までの1年間の標準賞与額の合計÷12
- 2つの合計が65万円以下なら、全額支給
- 65万円を超えたら、超えた分の半分が年金から止まる
標準報酬月額は、給与を区切りのいい額に当てはめた値で、給与明細の社会保険料のもとになっている数字です。だいたい月給と思って読めます。
止まらないものもあります。老齢基礎年金(国民年金の部分)と経過的加算は、いくら稼いでも全額出ます。
仮の人で計算:基本月額10万円なら、給与55万円までは減らない
式だけだと実感がわかないので、仮の人を置きます。66歳、会社員として厚生年金に入って働き、基本月額は10万円。給与(総報酬月額相当額)を4通りに動かしました。
| 給与(総報酬月額相当額) | 2026年度(線65万円) | 2024年度の線(50万円)なら |
|---|---|---|
| 50万円 | 止まらない | 月5万円止まる |
| 55万円 | 止まらない | 月7.5万円止まる |
| 60万円 | 月2.5万円止まる | 全額止まる |
| 70万円 | 月7.5万円止まる | 全額止まる |
給与60万円の行を見てください。年金と合わせて70万円。65万円を5万円超えたので、その半分の2.5万円が止まります。年にすると30万円です。それでも残りの7.5万円と基礎年金は出ます。
2024年度の線のままなら、同じ人は給与60万円で厚生年金が全部止まっていました。見直しで、ここがいちばん変わった所です。
損する場合:賞与で線を越える
月給だけ見て「65万円に届かない」と安心するのは早い。式の2つ目に「1年間の標準賞与額の合計÷12」が入っているからです。
たとえば月給(標準報酬月額)50万円で、年に120万円の賞与がある人。120万円÷12=10万円が上乗せされ、総報酬月額相当額は60万円になります。基本月額10万円なら合計70万円で、上の表のとおり月2.5万円止まります。月給だけで計算すると「止まらない」と読み違える組み合わせです。
もう1つ。止まった分は、あとで戻ってきません。繰下げ(受け取りを遅らせて年金を増やすこと)の増額の対象にもならないと、日本年金機構は書いています。繰下げで増やす計画の人は、年金の繰下げ、何歳まで生きれば得かの計算と合わせて見る必要があります。働いて止まる分は、そもそも増える元に入りません。
向かない読み方
- 65歳になる前に早めに受け取る人:繰上げ(受け取りを早めて年金を減らすこと)の損得は別の話です。繰上げのデメリットに分けて書きました
- 厚生年金に入らない働き方の人:この仕組みの外です
- 共済年金の期間や厚生年金基金の期間がある人:基本月額の出し方が変わる場合があります。年金事務所で確かめる部分です
私ならこうする
私なら、まずねんきん定期便で報酬比例部分の年額を見て、12で割ります。それが基本月額です。次に、去年1年の賞与の合計を12で割って月給に足す。この2つを足して65万円と比べるだけで、止まるかどうかは5分で分かります。
超えそうなら、時間を減らす前に、超える額を見ます。5万円超えて止まるのは2.5万円。働いた分の半分は手元に残ります。「止まるから働かない」と決める前に、この半分を計算に入れます。
それと、線は毎年度動きます。私なら、4月に日本年金機構のページで今年度の額を確かめてから、その年の働き方を決めます。
この記事でわからないこと
- あなたの基本月額と標準報酬月額。定期便と給与明細で人ごとに違います
- 2025年度の基準額。今日は原文を開いていないので書いていません
- 2027年度の基準額。賃金の変動で決まるので、まだ分かりません
- 65歳未満で2022年3月以前の分の年金。別の計算式があると年金機構は書いていますが、この記事では扱っていません
- 税と社会保険料。手取りで考えるなら、ここも動きます
働いた分が毎年10月に年金へ足される「在職定時改定」も、この線の影響を受けます。増えた分の半分が止まる仕組みは在職定時改定はいつ、いくら増える?に書きました。
次にやることを1つ。ねんきん定期便の「老齢厚生年金」の報酬比例部分の額を、12で割ってみてください。
その額に月給と賞与÷12を足すと、65万円を超えそうですか?
よくある質問
在職老齢年金の基準は62万円ですか、65万円ですか
2026年4月からは月65万円です。62万円は法律が成立した2025年6月時点の額で、基準は毎年度、賃金の変動に合わせて改定されます(厚生労働省・日本年金機構、2026年10月18日確認)。
在職老齢年金で止まる額はどう計算しますか
基本月額(報酬比例部分の月額)と総報酬月額相当額(標準報酬月額+1年の標準賞与額÷12)の合計が65万円を超えたら、超えた分の半分が止まります。65万円以下なら全額支給です(日本年金機構)。
働いて給料が多いと、基礎年金も止まりますか
止まりません。日本年金機構は、老齢基礎年金と経過的加算額は全額支給と書いています。止まるのは老齢厚生年金の部分だけです。
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