
預金保険の1000万円とペイオフ
銀行が破綻しても、預金は1人1,000万円とその利息まで守られます。ただし同じ銀行の口座は合算され、外貨預金は対象外です。1,300万円を預けた仮の人で、守られる額と外れる額を…
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「30代の貯金の平均は1,000万円を超えている」。数字そのものは本当です。ただ、同じ調査で真ん中の世帯を見ると311万円でした。平均の1,096万円に届いていない世帯は、少なくとも71.6%あります。平均は多数派の数字ではありません。金融経済教育推進機構(J-FLEC)の2025年調査の集計表を開いて、分布まで確かめました。
出どころは「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」です。2025年6月20日から7月2日に、インターネットで行われました。二人以上の世帯は5,000、単身は2,500。年代別の表から30歳代だけを抜きます。
| 30歳代 | 平均 | 中央値 |
|---|---|---|
| 二人以上世帯(貯金のない世帯を含む) | 1,096万円 | 311万円 |
| 二人以上世帯(貯金のある世帯だけ) | 1,337万円 | 500万円 |
| 単身世帯(貯金のない世帯を含む) | 501万円 | 100万円 |
| 単身世帯(貯金のある世帯だけ) | 752万円 | 255万円 |
いちばん大きい1,337万円と、いちばん小さい100万円。13倍の開きがあります。どれも同じ年の同じ調査の「30代」です。見出しにどれを選ぶかで、読んだ人の気分はまるで変わります。
調査の報告書に、9世帯の例が載っています。金額は150万、200万、300万、380万、720万、1,860万、2,950万、4,400万、6,500万円。足して9で割ると1,940万円になります。ところが、1,940万円を超えているのは3世帯だけです。残りの6世帯は平均より下。真ん中の5番目は720万円でした。
30代の実際の分布でも、同じことが起きています。二人以上世帯の表を、金額の帯ごとに並べます。
| 貯金の額(30歳代・二人以上世帯) | 割合 |
|---|---|
| 貯金がない | 17.6% |
| 300万円未満 | 27.8% |
| 300万〜1,000万円未満 | 26.2% |
| 1,000万〜3,000万円未満 | 17.9% |
| 3,000万円以上 | 7.9% |
| 金額は無回答 | 2.6% |
上から3つを足すと71.6%。ここまでが1,000万円未満です。平均の1,096万円は、その上の帯の中にあります。つまり、平均に届いていない世帯が7割を超えます。「貯金がない」と300万円未満を合わせると45.4%で、半分近くがここに入ります。
逆側も見ます。3,000万円以上の世帯は7.9%しかありません。この12〜13世帯に1つの大きな金額が、平均を中央値の3.5倍まで押し上げています。
このブログでは、お金の話に3つの質問を当てています。1つ目は「その数字の出典は?」。出典を開くと、数字と一緒に定義が書いてあります。今回、読んでいちばん驚いたのがここでした。
調査でいう金融資産は、預貯金のうち「運用のため、または将来に備えて蓄えている部分」です。生活費の出し入れや引き落としに備えて置いてあるお金は、数えません。株や投資信託、積立型の保険は入ります。現金、家、事業のためのお金は入りません。
すると「貯金がない17.6%」の意味も変わります。口座の残高が0円の世帯、という意味ではないのです。集計表によると、30代・二人以上世帯で「ない」とされた114世帯のうち、口座に残高がある世帯が47.4%ありました。残高はあるけれど、将来のために分けたお金はない。そう答えた人たちです。
給料が入る口座に全部置いている人は、残高が200万円あっても「ゼロ」と答えるかもしれません。同じ人が、別の口座に移した途端に「200万円」になります。自分の数字と比べるなら、まずこの線をそろえる必要があります。
定義がそろっても、まだ落とし穴があります。数字の使い方の側です。
1つ目の「足りない気分」は、老後の話でもよく起きます。有名な2,000万円も、前提を開くと自分の家計とは別の数字でした。老後2,000万円の計算の前提に、その読み方を書いています。
私なら、人の平均と比べる前に、自分の生活費の何か月分があるかを数えます。ひと月の支出が25万円の家なら、150万円で6か月分。比べる相手は自分の支出です。
何か月分が要るかは、収入が止まったときに入るお金でも変わります。会社員なら、病気で休んだときに健康保険から出るお金があります。金額の目安は傷病手当金の立場別の計算で確かめられます。フリーランスにはこれがないことが多いので、私なら厚めに置きます。
それでも世間の数字を知りたいときは、中央値を見ます。世帯の形が同じで、貯金のない世帯を含んだほう。そのうえで、定義を自分の口座に当てはめます。平均は見ません。
次にやることを1つ挙げるなら、自分の口座の残高を「毎月の出し入れ用」と「将来の備え」に分けて、紙に書いてみてください。調査と同じ線で数えた、あなたの数字が出ます。
「平均1,000万円」と聞いて焦ったとき、その数字が何割の人の話か、確かめたことはありますか?
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」では、30歳代の二人以上世帯で平均1,096万円・中央値311万円、単身世帯で平均501万円・中央値100万円です(どちらも金融資産を保有していない世帯を含む)。
少数の世帯の大きな金額が平均を引き上げるからです。30歳代の二人以上世帯では、3,000万円以上が7.9%ある一方、1,000万円未満が71.6%を占めます(同調査の表から筆者が合計)。
違います。この調査の金融資産は、運用や将来の備えとして蓄えている部分で、日常の出し入れ用の預貯金は含みません。30歳代の二人以上世帯で「保有していない」とされた世帯のうち、47.4%は口座に残高がありました。