信用取引の追証はいくら下がると出る?保証金30%と維持率20%の仕組み
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現金30万円を入れて100万円ぶんの株を買う。この形だと、株価が10%を超えて下がった所で追証(おいしょう=保証金の追加)が出ます。入れるのが現金でなく手持ちの株なら、約7.7%で届きました。
線は2本あります。始めるときの30%と、続けるための20%。そのすき間の10%が、最初の余裕です。
先に1分チェック
- 保証金は、建てる金額の何%入れるつもりですか。30%ちょうどなら、余裕は10%ぶんです
- 保証金は現金ですか、持っている株ですか。株は時価の8割までしか数えられず、その株が下がれば保証金も減ります
- 追証が出たら、いつまでに、いくら入れるか。使う証券会社の決まりで答えられますか
3つ目に答えられないなら、まだ注文を出す段階ではない。私はそう考えます。
仕組み:始める線は30%、続ける線は20%
信用取引は、証券会社に担保を預けて、お金や株を借りてする売買です。この担保が委託保証金。日本取引所グループの用語集には、約定価額の30%以上、その額が30万円に満たないときは30万円と書いてあります。もとの決まりは内閣府令で、条文にも「百分の三十」「三十万円」とありました。
30万円で100万円ぶん。東証の資料は、これを自己資金の3.3倍と説明しています。
ただ、30%は入口の線です。建てたあとは別の線で見られます。同じ用語集の「委託保証金維持率」の項目には、保証金は相場の変動による計算上の損失などを差し引いて計算するので減ることがあり、一定の率以上を保たなくてはならない、その率は20%だと書いてあります。
ここが、現金で株を買うのといちばん違う所です。現金で買った株は、下がっても持っていられます。信用取引は、売っていなくても、含み損が保証金から引かれていきます。
保証金から引かれるもの
東証の資料「信用取引制度の概要」(2026年9月)は、保証金の計算を次の式で示しています。
- 保証金=差し入れた額 − 確定した損 − 評価損 − 金利など + 確定した利益
評価損は「まだ決済していない損」のこと。内閣府令の8条は、この損益を約定した値段と前日の時価との差で数えると決めています。金利や手数料も引く側です。長く持つほど、値動きがなくても保証金は少しずつ削られます。
計算:何%下がると20%を割るか
では、どこで20%を割るのか。100万円ぶんを買い建てた人を置いて計算しました。維持率は「(保証金 − 評価損)÷ 100万円」。金利と手数料は入れていません。
| 入れた保証金(現金) | 最初の率 | 20%を割る値下がり |
|---|---|---|
| 30万円 | 30% | 10%超 |
| 40万円 | 40% | 20%超 |
| 50万円 | 50% | 30%超 |
| 100万円 | 100% | 80%超 |
30万円で始めた人が15%の値下がりに遭うと、評価損は15万円。保証金の計算は15万円に減り、維持率は15%です。20%に戻すには、少なくとも5万円が要ります。
このとき株価は15%しか動いていません。でも入れた30万円から見ると、半分が消えています。3.3倍で買えるというのは、損も3.3倍の速さで来るということです。
株を保証金にすると、線はもっと手前に来る
保証金は、持っている株で代えられます。内閣府令の6条では、株券は前日の時価の80%までしか数えられません。30万円ぶんの保証金にするには、時価37.5万円の株が要ります。
怖いのは、相場全体が下がる日です。買い建てた株が下がり、保証金にした株も同じだけ下がる。同じ率で下がると置いて計算すると、20%を割るのは約7.7%の値下がりでした。現金のときの10%より手前です。
保証金にした株と、買い建てた株が同じ銘柄なら、同じ率で動くのは仮定ではなくなります。
質問2で読む:「約3倍まで買える」の続きは書いてあるか
このブログでは、お金の話に3つの質問を当てています。今回は2つ目、「自分が損する場合は書いてある?」です。
東証の資料には、ちゃんと書いてありました。留意点のページに並んでいるのは4つ。手元資金以上の損失が出る場合がある。金利や逆日歩という固有のコストがある。保証金が一定率を下回ると追加の差し入れが要る。保証金率の引き上げなどの規制が行われる場合がある。
売りから入る場合は、もう1行あります。株価に上限はないので、最大損失は無限大。資料の言葉そのままです。
証券会社の案内を読むときも、私は同じ4つを探します。「少ない資金で大きく」の近くに、20%の線と追証の期限が書いてあるか。書いてあっても、小さな字で別のページにあるなら、そこを先に読みます。
コストの側は、株の手数料が0円でも証券会社が収益を得る仕組みで、信用取引の金利が証券会社の収入になることを確かめました。貸す側にとって、信用取引は使ってもらうほど収益になる商品です。
追証が出たら、いつまでに入れる?
20%を割ったあと、入れる期限を気にする人は多いはずです。取引所の規則は私は開けなかったので、証券会社3社の公開ページ(2026年10月28日・10月31日に表示)で読めた範囲を並べます。会社の名前は出どころを示すためで、すすめるものではありません。
| 出どころ | 追証になる線 | 入れる期限 |
|---|---|---|
| 松井証券のFAQ | 維持率20%未満(FAQ内の区分は10%以上と10%未満) | 10%以上20%未満=発生日から2営業日後の11:30まで/10%未満=翌営業日11:30まで |
| 東海東京証券の解説ページ(ダイレクト信用取引) | 20% | 発生日を含めて2営業日目の17時まで。入れなければ、発生日を含めて3日目の朝に全建玉を強制決済 |
| SMBC日興証券の解説ページ | 25%(本文の記載) | 原則3営業日以内。20%を下回る場合は2営業日以内 |
3社のうち、日興だけ線が違います。この記事の20%は、取引所の資料に出る率です。会社が25%に決めていれば、表の「10%を超える値下がり」より早く追証が来ます。
期限までに入れなかったときも3社とも同じ方向で、建玉をすべて決済する扱いが書かれていました。松井証券のFAQには、一度出た追証は相場が戻って維持率が20%を超えても自然には消えず、入金か反対売買が必要、ともあります。「戻ったから大丈夫」とは、ならないわけです。
損する場合・向かない人
- 保証金を30%ちょうどで建てる人。余裕は10%ぶんしかありません。金利と手数料を入れると、線はもう少し手前です
- 追証に入れるお金が、生活費しかない人。入れられなければ、損を確定させて終わることになります
- 現物の株を保証金にして、同じ銘柄を買い増す人。下がると両方が同時に減ります
- レバレッジ型・インバース型のETFを信用で買う人。用語集では、保証金は60%以上と別の決まりです
- 損が出たあとの税の手続きを知らない人。株の損失を3年繰り越す手順は、損が出た年に申告しないと使えません。信用取引の損がどう扱われるかは、国税庁か証券会社で確かめてから始める所です
FXを知っている人は、ロスカットと同じだと思うかもしれません。似ていますが、同じではありません。FX口座を開く前に確かめる4つに書いたとおり、FXは証拠金4%とロスカットの決まり。株の信用取引は30%と20%で、割ったときはまず「追加で入れてください」と求められます。入れればポジションは残る。そのぶん、損が続いたときに入れたお金は大きくなります。
私ならこうする
私なら、建てる前に「何%下がったら追証か」を自分の数字で出します。式は1行。保証金を建てる金額で割って、20%を引くだけです。表の右の列が、自分の余裕になります。
その余裕が、その銘柄の1日の値幅より小さいなら、私は建てません。保証金を増やすか、建てる金額を減らします。
もう1つ。追証が出たら追加で入れるのか、決済して終えるのか。これは建てる前に決めて、紙に書いておきます。下がっている最中に決めると、私は入れる側に傾きそうだからです。
この記事でわからないこと
- 追証を入れる期限の、取引所の規則(受託契約準則)の原文。今日は開けず、証券会社2社の公開ページで読めた期限だけを上の表に載せました。使う証券会社の約款で確かめる所です
- 2社以外の証券会社の線。東証の資料は「証券会社によっては独自のルールを設けている場合があります」と書いています。上の表のとおり、25%の会社もありました
- 金利と手数料を入れた実際の線。持つ日数が長いほど、表より手前に来ます
- 規制がかかった銘柄。東証の資料には、保証金率を50%(うち現金20%)にする例が載っています。すでに建てている分がどう扱われるかは、今日は確かめていません
- あなたが信用取引をしてよいかどうか。この記事は仕組みの説明で、売買の助言ではありません
お金を動かす前に、1つだけ確かめる。今回の1つは、使う証券会社の信用取引の説明にある「追証が出る率」と「入れる期限」です。口座を開く前でも読めます。
あなたの保証金だと、何%の値下がりで20%の線に届きますか?
よくある質問
信用取引の追証は、いくら下がると発生しますか
保証金(評価損などを引いたあと)が、建てた金額の20%を下回ると追加の保証金が必要になります(日本取引所グループ 用語集)。現金30万円で100万円を買い建てた場合、金利と手数料を除くと、10%を超える値下がりで20%を割ります。保証金が40万円なら20%超、50万円なら30%超です(筆者の計算、2026年10月10日)。
追証はいつまでに入れればいいですか
証券会社によって違います。松井証券のFAQでは、維持率10%以上20%未満なら発生日から2営業日後の11:30まで、10%未満なら翌営業日の11:30までです。SMBC日興証券の解説ページでは、原則3営業日以内、20%を下回る場合は2営業日以内とされています(いずれも2026年10月28日確認)。期限までに入れないと建玉がすべて決済される扱いが書かれています。
委託保証金率30%と維持率20%は何が違いますか
30%は新しく建てるときに必要な保証金の率で、最低30万円です。20%は建てたあとに保つ率です。保証金は含み損や金利などを差し引いて計算されるので、値下がりで減っていき、20%を下回ると追証になります。
株を保証金にすると追証は早くなりますか
早くなります。株は時価の80%までしか保証金に数えられず(内閣府令6条)、その株が下がれば保証金も減るためです。時価37.5万円の株を保証金にして100万円を買い建て、両方が同じ率で下がると置くと、約7.7%の値下がりで20%を割りました(筆者の計算)。
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