
株主優待の利回り計算、3.5%は本当?権利落ち日に株価が下がる理由
株価2,000円・100株・優待3,000円相当・配当40円の仮の株なら、総合利回りは3.5%。優待を使わなければ2.0%、配当の税引き後は約1.6%です。権利落ち日の値下がり…
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A証券で30万円もうけて、B証券で50万円損をした。差し引きは20万円の赤字なのに、A証券の口座からは税金が60,945円引かれたままです。特定口座(源泉徴収あり)は、同じ口座の中なら損と得を自動で相殺してくれます。でも、証券会社をまたいだ損益までは合わせてくれません。取り戻すには確定申告が要ります。そして残った20万円の損失を翌年に使うには、翌年も、その次の年も申告を続ける必要があります。1年でも休むと、そこで損失は使えなくなります。
まず仕組みです。特定口座は、証券会社が1年分の売買の損益を計算してくれる口座で、1社につき1つまで作れます。「源泉徴収あり」を選ぶと、売って利益が出るたびに税金が引かれ、その口座の分は確定申告しなくて済みます。
同じ口座の中で損が出れば、先に引かれた税金はその口座の中で戻ってきます。口座に配当を受け入れる設定にしておけば、配当とも口座の中で相殺されます。ここまでは自動です。
国税庁の特定口座の説明(タックスアンサー No.1476)には、ほかの口座の損益と相殺したい場合は確定申告が必要だと書いてあります。証券会社が見ているのは自分の会社の口座だけです。A証券はB証券の損を知りません。
確定申告で何と何を合わせられるかは、No.1474 に書いてあります。
合わせられないものもはっきりしています。株の損は、給料など他の所得からは引けません(No.1465)。上場していない株の利益からも引けません。そしてNISA口座の中の損は、損益通算(利益と損失の相殺)も繰越もできません。国税庁 No.1474 の注と、金融庁のNISA説明資料の両方にそう書いてあります。
仮の人で計算します。Aさんは2026年に、A証券の特定口座(源泉徴収あり)で30万円の利益、B証券の特定口座(源泉徴収あり)で50万円の損失を出したとします。配当はなし、手数料は損益に含めて考えます。
| 計算の段 | Aさんの場合 |
|---|---|
| A証券で引かれた所得税・復興特別所得税(15.315%) | 300,000円×15.315%=45,945円 |
| A証券で引かれた住民税(5%) | 300,000円×5%=15,000円 |
| 申告で2つの口座を合わせる | 300,000円−500,000円=−200,000円 → 税金は0円 |
| 戻る額 | 60,945円(所得税側45,945円+住民税側15,000円) |
| 翌年に繰り越せる損失 | 200,000円 |
所得税の側は申告で還付、住民税の側は翌年度の住民税で精算。戻り方が2つに分かれます。
もう1つ、源泉徴収ありの口座の損を申告に入れるときは、その口座で受け取った配当も一緒に申告しなければなりません(No.1476)。配当だけ申告から外す、は認められていません。
通算しきれなかった20万円は、翌年から3年間、上場株式等の売却益や配当から差し引けます。これが繰越控除です。2026年の損なら、使えるのは2027年・2028年・2029年の3年分になります。
条件は No.1474 の手続きの欄にあります。損が出た年に、専用の付表と計算明細書をつけて確定申告する。その後の年も、連続して付表をつけた確定申告書を出す。しかも注で「上場株式等の譲渡がなかった年も」繰り越すための申告が必要と念押しされています。売っていない年も申告です。
Aさんの2年目で数字にします。2027年にA証券で20万円の利益が出たとします。
| 2年目も申告した | 2年目は売買がなく申告しなかった | |
|---|---|---|
| 2027年 | 利益20万円から繰越損失20万円を引いて税金0円。引かれた40,630円が戻る | 売買なし。申告しない |
| 2028年に20万円の利益 | (損失は2027年に使い切り済み) | 繰越損失はもう使えない。40,630円は引かれたまま |
| 2年間で戻る額 | 60,945円+40,630円=101,575円 | 60,945円 |
右の列が「今年だけ申告して翌年しなかった」形です。2026年の申告で戻った60,945円はそのままですが、繰り越した20万円の損失はそこで途切れます。売らなかった年は申告のことを忘れやすい。いちばん起きやすい失敗だと思います。
このブログでは、お金の話に3つの質問を当てています。2つ目は「自分が損する場合は書いてある?」です。
「源泉徴収ありの特定口座なら確定申告は要らない」という説明は正しいです。ただし、それは利益の側の話です。損をした人にとっては、申告しないと取り戻せる税金がそのまま残ります。調べて出てきた「損する場合」は3つありました。
申告した側にも、見ておきたい面があります。国税庁 No.1331 の表では、上場株式等の配当は申告すると合計所得金額に含まれ、申告不要なら含まれません。繰越控除を使った年は、控除する前の金額で数えるとも書かれています(配当の説明の中の注)。合計所得金額は、扶養に入れるかどうかの判定などに使われる数字です。
配当を申告分離・総合課税・申告不要のどれで受け取るかで手取りがどう変わるかは、配当の税金を受け取り方4つで計算した記事に書きました。優待目当てで買った株が値下がりして損が出た人は、株主優待の利回りと権利落ち日の値下がりもあわせてどうぞ。
私なら、年が明けたら各社の「特定口座年間取引報告書」を並べて、損益の合計を先に確かめます。全社を足してマイナスで、どこかの口座で税金が引かれていたら、申告で戻る形です。
繰り越すと決めたら、3年分の申告をカレンダーに先に入れます。売らない年ほど忘れるからです。
扶養や保険料への影響が気になるなら、申告する前にそちらを確かめます。戻る税金と、上がるかもしれない負担を並べてから決めたいからです。自分の場合にどちらが得かは、税理士か税務署の相談窓口に聞く話です。
次にやることを1つ挙げるなら、口座を持っている証券会社の数を数えてください。2社以上あって、今年どこかで損が出ているなら、年明けに届く年間取引報告書を捨てずに取っておくところまでが今日の分です。
あなたの口座は何社にあって、今年は全部を足すとプラスですか、マイナスですか?
確定申告をすれば相殺できます。源泉徴収ありの特定口座でも、自動で相殺されるのは同じ口座の中だけです(国税庁 No.1476)。A証券で30万円の利益、B証券で50万円の損失なら、申告でA証券で引かれた60,945円が戻る計算です(筆者の計算)。
損失が出た年の翌年以後3年間です。損失が出た年に付表をつけて確定申告し、その後も連続して申告する必要があります。株を売らなかった年も、繰り越すための申告が必要です(国税庁 No.1474)。
できません。NISA口座の中で出た損失は、他の口座の利益との損益通算も、翌年以後への繰越もできません(国税庁 No.1474、金融庁のNISA説明資料)。