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株式公開 2026-09-30 ・ 更新 2026-09-30

株主優待の利回り計算、3.5%は本当?権利落ち日に株価が下がる理由

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株主優待の利回りを確かめる

「配当と優待を合わせて利回り3.5%」。こういう紹介を見ると、預金よりずっといい数字に見えます。計算式そのものは合っています。株価2,000円・100株・優待3,000円相当・配当1株40円の株なら、たしかに3.5%です。ただ、この3.5%には3つの前提が隠れていました。優待を満額の値打ちで使うこと、税金を引く前であること、権利落ち日の値下がりを数えていないこと。3つを外すと、配当だけの手取りは約1.6%まで下がります。

書いている私は、相場のロジックを100以上検証してきたシステムエンジニアです。株式や税金の専門家ではありません。だから数字は、日本取引所グループ(JPX)・国税庁・日本証券業協会の原文を開いて確かめたものと、前提を書いた自分の計算だけにしています。銘柄は架空です。

先に1分チェック

  1. 気になっている優待、去年もらっていたら全部使いましたか。使い切れなかった分は、利回りの計算から外して考えます
  2. その株を、権利落ち日のあとも持ち続けるつもりですか。すぐ売るつもりなら、後半の「権利落ち」の節が本題です
  3. 会社員で、給与以外の所得がほかにありますか。優待の税金の節で使います

優待利回りの分母は「株価×必要な株数」

計算はかんたんです。分母は、優待をもらうのに必要な株を買う金額。株価に必要株数を掛けます。分子は、1年に受け取る優待の「〇円相当」です。

仮の株で数字にします。株価2,000円、優待がもらえるのは100株から、優待は年1回3,000円相当、配当は年1回で1株40円とします。

計算の段仮の株の場合
分母(株価×必要株数)2,000円×100株=200,000円
優待利回り3,000円÷200,000円=1.5%
配当利回り40円×100株=4,000円 → 4,000円÷200,000円=2.0%
総合利回り(配当+優待)7,000円÷200,000円=3.5%
優待を使わない場合2.0%(配当だけ)
配当を税引き後にした場合約3,187円÷200,000円=約1.6%

筆者の計算。架空の株で、優待・配当とも年1回、株価は買った日の値段のまま動かないとした場合。配当の税は20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)で、4,000円×20.315%=812.6円を引いた約3,187円。端数処理は考えていません

ここで気になるのは「3,000円相当」の出どころです。この額は会社が決めた値段で、市場で売れる値段とは限りません。自社の商品券やお店の割引券なら、そのお店を使わない人には価値がほぼありません。

たとえば、ふだんなら1,500円分しか使わないものなら、実感の総合利回りは(4,000円+1,500円)÷200,000円=2.75%です。使わなければ2.0%。同じ株でも、持つ人によって利回りが変わります。

権利落ち日には、理論上は配当の分だけ株価が下がる

優待や配当をもらえる人は、会社が決めた「権利確定日」(基準日)の時点で株主名簿に載っている人です。ここで効いてくるのが、株の受渡しのルールです。

JPXの説明では、日本の株は2019年7月16日の取引から「T+2」になりました。買った日から数えて3営業日目に受渡しが済む、という決まりです。だから権利確定日に株主でいるには、その2営業日前までに買っておく必要があります。この最後の日が「権利付最終日」。次の日、つまり権利確定日の1営業日前が「権利落ち日」で、この日に買っても今回の権利はもらえません。

祝日のない週で、権利確定日が金曜なら、権利付最終日は水曜、権利落ち日は木曜です。

そして権利落ち日の株価について、JPXの用語集は「当該権利の相当額分下落することとなります」と説明しています。値幅制限の基準になる値段も、JPXの式では「配当付最終値-配当金額」です。仮の株なら、前日の終値2,000円から配当40円を引いた1,960円が基準になります。

理屈はこうです。権利落ち日より前に買った人は40円の配当ももらえる。権利落ち日以降に買う人はもらえない。もらえない分、安くないと釣り合いません。

ただし、これは基準の値段の話です。実際の株価は、その日の売り買いでいくらでも動きます。もう1つ、JPXの式に入っているのは配当の額だけで、優待の分は入っていません。優待の分まで下がるかどうかは、銘柄やその日の相場しだいです。決まった答えはありません。

「優待利回りが高い」を、質問2で読む

このブログでは、お金の話に3つの質問を当てています。2つ目は「自分が損する場合は書いてある?」です。

総合利回り3.5%という紹介で、損する側の話が抜けやすいのは次の3つでした。

2つ目は、数字でも確かめられます。日本証券業協会の研究会の報告書(2025年4月)によると、2024年9月末で優待を出している会社は1,494社、上場企業の約3分の1です。コロナ禍のあとは廃止が増え、理由は以前の「上場廃止」「業績悪化」に加えて、「公平な利益還元」を挙げる例が増えているそうです。一方で、足元では新しく始める会社が廃止を上回っているとも書かれています。増えもするし、減りもする。今年の優待が来年もある保証はありません。

優待の税金は「雑所得」で、配当とは別の扱い

配当には20.315%の税金がかかります。受け取り方で税が変わる話は配当の税金20.315%を受け取り方4つで計算した記事で確かめました。

では優待はどうか。国税庁の所得税基本通達24-2は、乗車券や入場券、施設の利用券、自社製品の値引きといった優待は、会社が利益の処分として扱わない限り「配当」に含まれないとしています。そして個人の株主が受けるものは「雑所得」に当たり、配当控除(配当にだけ使える税額の差し引き)の対象にはならない、と注記しています。国税庁の確定申告書等作成コーナーの質問集にも、株主優待を受け取った場合は雑所得に当たると書かれています。

会社員で、給与を1か所から受けて年末調整をしている人なら、給与と退職金以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要になります(国税庁タックスアンサー1900番、令和8年4月1日現在)。優待は、この「給与以外」の側に入ります。優待をいくらと数えるか、自分が申告の対象になるかは、人によって変わるところです。個別のことは税務署か税理士に確かめてください。

この計算が当てはまらない人

私ならこうする

書き手のアイコン書き手

私なら、優待の「〇円相当」をそのまま分子に入れる前に、去年の自分が実際にいくら分使ったかを先に確かめます。使わない優待は0円で計算します。そのうえで配当だけの利回りを税引き後で出し、それで納得できるかを見ます。

権利付最終日に買って権利落ち日に売る動きは、私ならしません。理論上は配当の分だけ値が下がり、税金の分だけ手元が減る計算になるからです。優待の分がどう動くかは読めません。

買うかどうかを決めるときは、利回りより先に、株価が1割下がったら何円減るかを数えます。仮の株なら2万円。優待と配当、1年分の合計7,000円のほぼ3倍です。

優待株をNISAで買う人もいると思います。その場合、株価が下がって途中で売ったとき、非課税の枠がいつ戻るかも前提に入ります。新NISAで売ったら枠は復活するかを仮の人で計算しました。

この記事でわからないこと

次にやることを1つ挙げるなら、気になっている優待の「〇円相当」を、自分が使う分だけに書き直して、利回りを計算し直してみてください。電卓で1分です。

その優待、去年もらっていたら、何円分を使い切れていましたか?

JPX・国税庁・日本証券業協会の公開情報をもとに、制度の一般的な仕組みを説明したものです(2026年9月30日確認)。特定の銘柄の売買や、個別の税務の助言ではありません。計算例は架空の株に前提を置いたもので、将来の利回りや株価を示すものではありません。

よくある質問

株主優待の利回りはどう計算しますか

1年に受け取る優待の額(会社が決めた「〇円相当」)を、株価×必要株数で割ります。株価2,000円・100株・優待3,000円相当なら 3,000円÷200,000円=1.5%です(筆者の計算)。自分が使わない優待なら、実感の利回りはもっと低くなります。

権利落ち日に株価が下がるのはなぜですか

権利落ち日以降に買っても今回の配当がもらえないためです。JPXは権利落日の株価は権利の相当額分下落することとなると説明し、値幅制限の基準値段は「配当付最終値-配当金額」で出します。実際の株価は相場で動き、優待の分がどれだけ下がるかは決まっていません。

株主優待に税金はかかりますか

国税庁の所得税基本通達24-2では、個人株主が受ける株主優待は雑所得に当たり、配当控除の対象にはならないとされています。申告が必要かどうかは他の所得と合わせて決まるので、個別のことは税務署か税理士に確かめてください。