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NISA・投資信託公開 2026-09-30 ・ 更新 2026-09-30

新NISAで売ったら枠は復活する?いつ・いくら戻るかを仮の人で計算

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新NISAの枠の復活

「新NISAは売っても枠が復活する」。よく聞く説明で、金融庁の資料にもそう書いてあります。ただ、同じ資料を読み進めると条件が2つ付いていました。戻るのは翌年からで、戻る額は売った値段でなく買った金額(簿価)です。しかも年間の枠は戻りません。ここが落とし穴です。成長投資枠で200万円買った人が、値上がりした年に売って買い直そうとすると、その年にNISAで買えるのは40万円まででした。

書いている私は、相場のロジックを100以上検証してきたシステムエンジニアです。税や投資の専門家ではないので、この記事の数字は金融庁の原文を開いて確かめたものと、前提を書いた自分の計算だけです。特定の商品や証券会社をすすめる記事ではありません。

先に1分チェック

  1. 今年、つみたて投資枠と成長投資枠をそれぞれいくら使いましたか。NISA口座の画面に、今年の利用額が出ています
  2. 売ろうとしている商品を、いくらで買いましたか。今の評価額とは別の数字です。これが簿価です。
  3. 売ったお金を、同じ年のうちにまたNISAで買うつもりですか。「はい」なら、この記事の計算がそのまま当てはまります

3で「いいえ」の人は、下の「いつ・いくら戻るか」だけ読めば足ります。

新NISAの枠は「1年の上限」と「一生の上限」の2種類

まず枠の数字から。新NISAには、1年に買える上限と、持っていられる合計の上限があります。

つみたて投資枠成長投資枠
1年に買える上限(年間投資枠)120万円240万円
合計の上限(非課税保有限度額)2つ合わせて1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
非課税で持てる期間無期限

出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」(2026年9月30日確認)。2つの枠は併用でき、合計で年間360万円まで。対象は日本に住む18歳以上

金融庁は、どちらの上限も「簿価をもとに計算」すると書いています。簿価は、買ったときの金額のことです。値上がりしても値下がりしても、枠の計算には買った金額だけが使われます。時価は関係ありません。

いつ・いくら戻るか:売った翌年に、買った金額の分だけ

売ったときに戻るのは、合計の上限(1,800万円)のほうです。金融庁の図の例では、100万円で買った商品が80万円に下がっても120万円に上がっても、売ったあとに戻る枠は100万円でした。どちらでも同じです。

戻る時期は翌年。12月に売れば翌月の1月から使えますが、1月に売ると、使えるのはほぼ1年後の翌年1月からになります。同じ「売る」でも、月によって待つ期間が大きく変わります。

そしてもう1つ。金融庁の説明資料には、戻った枠がその年の年間投資枠に上乗せされるわけではないと書かれています。翌年に枠が戻っても、その年に買える額はつみたて120万円・成長240万円のままです。

仮の人で計算:200万円で買い、260万円で売ってすぐ買い直すと

ここからは仮の人です。この人は2026年、つみたて投資枠を毎月10万円ずつ年120万円使う予定で、1月には成長投資枠で200万円分を買い、6月に260万円まで上がったところで全部売りました。売ったお金を、その年のうちにNISAで買い直したいと考えています。

2026年(売った年)2027年(翌年)
成長投資枠で買える額240万円−200万円=40万円240万円
つみたて投資枠で買える額0円(積み立てで120万円使う)120万円
NISAに入らない売却代金260万円−40万円=220万円—
合計の上限(1,800万円)の残り—1,800万円−160万円=1,640万円

筆者の計算。18歳以上、手数料なし、値動きは仮の数字。2026年に買い直す40万円は成長投資枠の残り。2027年の160万円は、年末に持っている簿価(買い直した40万円+積み立ての120万円)

売った年に買い直せたのは40万円だけでした。思ったより少ない。残りの220万円は、ふつうの口座(課税口座)で買うか、翌年まで待つかのどちらかです。税の面は有利です。値上がり分の60万円には税がかかりません。課税口座なら20.315%で121,890円かかっていた額です。一方で、戻ってきた枠は200万円です。260万円ではありません。60万円分は戻らないのです。

質問2で読む:「枠が復活する」の、書いていない側

このブログでは、お金の話に3つの質問を当てています。2つ目は「自分が損する場合は書いてある?」です。

「売っても枠が復活するから、気軽に売り買いできる」。間違いではありません。ただ、損する側の条件が抜けやすい。そこを見ます。同じ200万円の商品を、値上がりと値下がりの両方で売って買い直した場合を並べます。

売って同じ額を買い直すと値上がり(200万→260万円)値下がり(200万→150万円)
翌年に戻る合計の枠200万円200万円
買い直しで使う枠260万円150万円
合計の上限の使い方60万円増える50万円減る
売った損益60万円の利益に税がかからない50万円の損は、ほかの口座の利益と相殺できない

筆者の計算。買い直しは戻った枠と、その年または翌年の年間投資枠の範囲で行えた場合。損益通算と損失の繰越ができない点は、金融庁「NISAを利用する皆さまへ」

値上がりした商品を売って買い直すと、中身が同じでも合計の上限を多く使います。1,800万円は、簿価で数える上限だからです。値下がりの側は枠が軽くなります。でも、損はNISAの外の利益と差し引けません。ふつうの口座なら損益通算(ほかの利益と損を差し引くこと)ができる場面です。

この計算が当てはまらない人

私ならこうする

私なら、売る前に紙に2つ書きます。今年の年間投資枠の残りと、売る商品の簿価です。年内に買い直すつもりなら、買い直す額が残りの枠に収まるかを先に見ます。収まらなければ、差額は課税口座で買うか翌年まで待つことになります。それを分かったうえで決めます。

もう1つ。NISAで売る理由の多くは、急にお金が要ったときのはずなので、私ならそうした出費に備える現金を別に置いて、枠を「売った年のうちは戻らないもの」として扱います。医療費のような出費がどこまでで止まるかは、高額療養費の上限の記事で計算しています。

この記事でわからないこと

次にやることを1つ挙げるなら、NISA口座の画面で、今年の成長投資枠とつみたて投資枠の利用額を見てください。それで、今年あといくら買えるかが決まります。

NISAで配当を受け取るときの税の扱いも、受け取り方の設定で変わります(配当の税金を受け取り方4つで比べた記事)。老後に向けて何年積み立てるかを考えるなら、よく聞く老後2,000万円の前提も一度確かめておくと、目標の額を自分の数字で置き直せます。

あなたが今年のうちに売って買い直すとしたら、残りの年間の枠に収まりますか?

金融庁の公開資料をもとに、制度の一般的な仕組みを説明したものです(2026年9月30日確認)。特定の商品・金融機関や、売買のタイミングをすすめる投資助言ではありません。計算例は仮の人の前提によるもので、将来の値動きや成果を示すものではありません。

よくある質問

新NISAで売った枠はいつ戻りますか

売った年の翌年から使えます(金融庁 NISA特設ウェブサイト、2026年9月30日確認)。12月に売れば翌月から、1月に売ると約1年後の翌年1月からです。売った年のうちには戻りません。

新NISAで売ると、枠はいくら戻りますか

売った値段ではなく、買った金額(簿価)の分だけ、合計の上限1,800万円の枠が戻ります。金融庁の例では、100万円で買った商品が120万円に上がっても80万円に下がっても、戻る枠は100万円です。

新NISAで売って、同じ年に買い直せますか

その年の年間投資枠(つみたて120万円・成長240万円)が残っている分だけ買い直せます。戻った枠がその年の年間投資枠に上乗せされることはありません(金融庁「NISAを利用する皆さまへ」)。成長投資枠で200万円買った年なら、成長投資枠で買い直せるのは40万円までです。