
医療費控除とセルフメディケーション税制、どっちが得?分かれ目は8万8千円
医療費控除とセルフメディケーション税制は片方しか選べず、申告後の変更もできません。分かれ目は「市販薬以外の医療費が88,000円を超えるか」。国税庁の式で3つの家計を計算し、2…
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親の家を相続して売ると、利益から最高3,000万円を引ける特例があります。ただし家と土地を取得した相続人が3人以上だと、引けるのは1人2,000万円まで。2024年1月の売却からこうなりました(国税庁 No.3306)。
「じゃあ3人で相続したら損なのか」と思って計算したら、そうとも限りませんでした。控除は売った人ごとに使うので、税額は人数と持ち分の組み合わせで決まります。1人で相続したときがいちばん高い、という結果まで出ました。
3つとも「はい・はい・していない」なら、この先の計算が自分の話になります。1つでも外れたら、特例は使えない前提で考えるほうが安全です。
土地や建物を売ったときの税は、利益にかかります。利益は、売値から「取得費(親が買ったときの値段)」と「譲渡費用(売るためにかかった費用)」を引いた残りです。
空き家の特例は、この利益からさらに最高3,000万円を引けるというもの。引いて0以下になれば、税は0円です。
2024年1月1日からの売却には、決まりが1つ足されました。家と土地の両方を相続した人が3人以上いると、上限が2,000万円に下がります。国土交通省の資料にも「家屋と敷地のいずれも相続した相続人の数が3人以上の場合は2,000万円」と書いてあります。
ここで読み違えやすいのが「誰の2,000万円か」です。国税局のチェックシートは「あなた(売却した方)」を主語にして1人ずつ判定する作りになっています。3人で共有して売れば、3人がそれぞれ自分の利益から2,000万円まで引く。家族全体で2,000万円、という意味ではありませんでした。
仮の家を置きます。築50年の実家を取り壊して、土地を5,000万円で売った。親がいくらで買ったかは分からない。こういう設定です。
この4,400万円を、相続した人数と持ち分を変えて計算しました。
| 相続した人 | 1人の利益 | 税の合計 |
|---|---|---|
| 特例なし | 4,400万円 | 約894万円 |
| 1人 | 4,400万円 | 約284万円 |
| 2人(半分ずつ) | 2,200万円 | 0円 |
| 3人(3分の1ずつ) | 約1,467万円 | 0円 |
| 3人(半分・4分の1・4分の1) | 2,200万円と1,100万円 | 約41万円 |
1人で相続すると、3,000万円を引いても1,400万円が残って、税は約284万円。2人で半分ずつなら、それぞれの利益2,200万円が3,000万円の中に収まって0円です。
3人でも、3分の1ずつなら1人約1,467万円。2,000万円の中に収まります。0円。
税が出たのは、3人のうち1人が半分を持つ場合でした。その人の利益は2,200万円で、上限の2,000万円を200万円はみ出します。約41万円。同じ2,200万円でも、相続したのが2人なら上限は3,000万円なので0円でした。
「3人以上だと損」は半分だけ本当です。損になるのは、誰か1人の利益が2,000万円を超えるときだけでした。
計算していて気づいたのが、この人数の数え方です。国税庁の文は「家屋および敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数」。子どもが3人いても、家と土地を取得したのが2人なら、数は2です。相続税の基礎控除で使う法定相続人の数とは別物でした。
基礎控除のほうの数え方は相続税の基礎控除を仮の家族で計算した記事に書いたので、並べて読むと違いが分かります。あちらは放棄した人も数に入れる。こちらは実際に家と土地をもらった人だけです。
この人数は自分で申告するだけでは済みません。市区町村が出す「被相続人居住用家屋等確認書」という書類に、取得した相続人の数が載ります。確定申告にこの書類を付ける決まりです。
誰が家を取得するかは遺産の分け方そのものなので、税だけで決める話ではないです。家をもらわなかった人にお金で渡す方法をとれば、別の税の話も出てきます。ここは家族ごとに答えが違うので、税理士に聞く場所です。
このブログでは、お金の話に3つの質問を当てています。今回は2つ目、「自分が損する場合は書いてある?」。この特例は、使えなくなる条件のほうが長く書いてありました。国税庁 No.3306 から、落としやすい順に並べます。
期限は2つが重なります。2024年8月に亡くなった場合、3年たつのは2027年8月なので、売る期限は2027年12月31日。2025年に亡くなった場合は3年の決まりだけなら2028年末ですが、特例が2027年末で終わるので、今の法律ではそこまでです。
使えるかどうかで、仮の家族なら最大で約894万円が変わります。条件を1つ落とすだけで、です。
使えなくなる条件の中に、見落としやすい行がもう1つあります。「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例など、他の特例の適用を受けていないこと」。
取得費の特例(国税庁 No.3267)は、払った相続税の一部を取得費に足して、利益を小さくできる決まりです。相続税を払った人が、申告期限の翌日から3年以内に売ると使えます。空き家の特例とは、同じ家についてどちらか片方です。
相続税がかからなかった家は、取得費の特例がそもそも使えないので迷いません。相続税がかかったかどうかの見分け方は相続税が0円でも申告が必要な場合の記事に書きました。両方使える人がどちらを選ぶと税が少ないかは、相続税の額と家の評価額で変わります。この記事では計算していません。
私なら、不動産会社に相談する前に、役所へ先に行きます。家のある市区町村に「被相続人居住用家屋等確認書」の窓口があるので、何を持っていけば出してもらえるかを聞く。確定申告に付ける書類で、これが無いと特例は通りません。
次に、売るまで家を何にも使いません。片づけの間だけ知人に貸す、更地を月極の駐車場にする。どちらも善意や節約のつもりで、特例を消します。私はこれがいちばん怖いと思いました。
そして共有で相続するなら、自分の持ち分で利益がいくらになるかを、上の表と同じ式で1回計算します。2,000万円か3,000万円の線を超えるかどうかは、5分で分かります。
次にやることを1つ。実家の登記簿か固定資産税の通知で、建った年月日を見てください。1981年5月31日より後なら、この特例の話はそこで終わりです。
実家を売るとしたら、相続するのは何人で、誰の持ち分がいちばん大きくなりそうですか?
家と土地の両方を相続または遺贈で取得した相続人が3人以上のときは、1人につき2,000万円までです。2024年1月1日以後の売却から適用されています(国税庁 No.3306)。2人以下なら1人3,000万円までです。
売る期限は2つあります。相続が始まった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までで、かつ特例そのものの期限である2027年(令和9年)12月31日までです。2026年10月4日時点で延長は決まっていません。
2024年1月1日以後の売却なら、売った日の属する年の翌年2月15日までに、家の全部を取り壊すか耐震の基準を満たす工事が済めば対象になります。期限までに済んだことを市区町村の確認書と書類で示す決まりです。