不動産の査定額は売れる値段?媒介契約3種類と根拠を聞く権利
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査定額は、売れる値段ではありません。不動産会社が「この値段で売れそうです」と言う、意見です。そして宅地建物取引業法は、その意見を言うときに根拠を明らかにしなければならないと定めています(第34条の2第2項)。
この意見を出す会社の側は、どこで収入を得るのか。仲介の手数料が入るのは、売買の契約が成立したときです。3,000万円で売れたなら、上限は105.6万円(税込)。この仕組みを知ってから査定額を見ると、聞くべきことが変わります。
まず1分チェック
- 査定額を出した会社に、根拠を聞きましたか。近くの取引事例など、何と比べた値段かです
- 結ぼうとしている契約は、3種類のどれですか。専属専任・専任・一般で、会社の義務が違います
- 自分でも、近くの取引価格を見ましたか。国土交通省のサイトで無料で見られます
勧める側は何で収入を得ているか
質問3「勧める人は何で収入を得ている?」から始めます。売却を仲介する不動産会社の収入は、仲介手数料です。国土交通省の消費者向けページは、これを「仲介により、不動産取引の契約が成立した場合に」受け取れるものと説明しています。
つまり、売れるまで手数料は入りません。さらに、売主と仲介の契約(媒介契約)を結べなければ、売る機会そのものが来ません。だから査定額は、契約を取りにいく場面で出てくる数字でもあります。高い査定額が悪いわけではない。ただ、その値段で売れる保証にはなりません。
手数料の上限は、法律に基づく告示で決まっています。国交省の計算例では、1,000万円の物件で売主が払う上限は39.6万円(税込)です。同じ式で計算すると、次のとおりです。
| 売れた値段 | 手数料の上限(税込) |
|---|---|
| 1,000万円 | 39.6万円(国交省の計算例) |
| 3,000万円 | 105.6万円 |
| 800万円以下(低廉な空家等) | 特例で33万円まで |
上限なので、これより安い会社があってもかまいません。800万円以下の特例は、媒介契約のときに説明を受けて合意することが前提だと、国交省は書いています。
査定額の「根拠」は聞いていい
では、査定額をどう受け止めればいいか。法律が助けになります。宅建業法第34条の2第2項は、売る値段について会社が意見を述べるときはその根拠を明らかにしなければならない、と書いています。
聞き方はシンプルです。「この値段は、どの取引と比べて出しましたか」。近くの成約事例なのか、広告に出ている売り出し価格なのか。後者なら、まだ売れていない値段です。
自分で照らし合わせる先もあります。国交省の「不動産情報ライブラリ」では、取引価格のアンケート結果や、レインズの成約価格を加工した情報を、地価公示と並べて見られます。
媒介契約3種類の違い(法令の原文で)
査定のあとに結ぶのが媒介契約です。どれを選ぶかで、会社に課される義務が変わります。条文と施行規則から並べました。
| 種類 | ほかの会社にも頼める | レインズへの登録 | 状況の報告 |
|---|---|---|---|
| 専属専任 | 頼めない。自分で見つけた相手とも直接は契約できない | 5日以内 | 1週間に1回以上 |
| 専任 | 頼めない | 7日以内 | 2週間に1回以上 |
| 一般 | 頼める | 義務なし | 定期の報告の義務なし |
専任と専属専任は、期間が3か月を超えられません。更新も、売主の申出があったときだけです(第3項・第4項)。気に入らなければ、3か月で別の会社に替えられるということです。
レインズは、不動産会社どうしで物件を探すシステムです。登録すると売主に登録証明書が渡され、そこに書かれた「売主専用画面」で、自分の物件が「公開中」か「購入申込みあり」かを見られます。令和7年1月からは、スマホで読める二次元コードも付くと国交省は書いています。
損する場合・向かない人
質問2「自分が損する場合は書いてある?」でも見ておきます。
- いちばん高い査定額の会社を、それだけで選ぶ。高く売り出して売れ残ると、値下げをくり返すことになりかねません。根拠を聞かずに決めるのが危ない所です
- 専任で結んだのに、状況の報告が来ない。2週間に1回以上は法律の義務です。来なければ、売主専用画面で自分の物件の状況を見てください
- 一般媒介でたくさんの会社に頼めば早く売れる、と思い込む。一般には登録や定期報告の義務がありません。どの会社がどれだけ動いているか、自分で追う手間が増えます
- 相続した実家で、税の特例の期限を気にせず査定を待つ。売り方の前に、空き家の3,000万円控除の条件と期限を先に確かめる必要があります
私ならこうする
私なら、査定を頼む前に、不動産情報ライブラリで近くの取引価格を自分で見ておきます。手元に物差しがあると、査定額が高いか低いかを自分で判断できるからです。
そのうえで、査定額を出した会社には根拠を必ず聞きます。答えが「売り出し中の物件の値段」だけなら、成約した事例も出してもらいます。
家の中の物を片付けながら売る準備をしている段階なら、実家の片付けで査定に出す前の確かめ方も、同じ「誰が何で収入を得るか」の見方で書いています。
この記事でわからないこと
- あなたの家がいくらで売れるか。立地・状態・時期で変わり、この記事では出せません
- 「机上査定」と「訪問査定」の違いの細部。法令と国交省の原文に定義が無く、会社ごとに中身が違うため、ここでは書いていません
- どの種類の媒介契約が向いているか。物件と、売主がどれだけ自分で動けるかで変わります
- 売ったあとの税金。譲渡所得の計算は別の話で、個別は税理士か税務署へ
お金を動かす前に、1つだけ確かめる。今回の1つは、査定額の「根拠」です。法律が会社に求めている説明なので、遠慮せずに聞いてかまいません。
査定額を聞いたとき、その値段の根拠まで説明されましたか?
よくある質問
不動産の査定額で売れますか
査定額は不動産会社の意見で、その値段で売れる保証はありません。宅地建物取引業法 第34条の2第2項は、会社が売る値段について意見を述べるときは根拠を明らかにしなければならないと定めています(2026年10月17日 e-Gov で確認)。
専任媒介と一般媒介の違いは何ですか
専任媒介はほかの会社に重ねて頼めず、会社には7日以内(休業日を除く)のレインズ登録と、2週間に1回以上の状況報告の義務があります。一般媒介はほかの会社にも頼めますが、登録と定期報告の義務はありません(宅建業法 第34条の2、施行規則 第15条の10)。
仲介手数料はいくらですか
上限は告示で決まっており、国土交通省の計算例では1,000万円で39.6万円(税込)です。同じ式で3,000万円なら105.6万円(筆者の計算)。800万円以下の物件(低廉な空家等)は特例で30万円×1.1倍まで受け取れます。手数料は売買の契約が成立したときに受け取るものです。
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