賃貸と持ち家どっちが得?35年の総額を金利3.83%で計算した
このページには広告(アフィリエイトリンク)を含むことがあります。

4,000万円のマンションを今の固定金利(年3.83%)で買うと、35年で出ていくお金は約8,593万円。家賃12万円の賃貸なら約5,244万円でした。この条件なら賃貸のほうが約3,349万円少ない。
ただし、これは答えの半分です。家賃を15万円にする。金利を1%にする。35年後に家が2,000万円で売れるとする。どれか1つ動かすだけで、勝ち負けは入れ替わります。
先に1分チェック:比べる前に決める3つ
- 買う家と同じ広さ・同じ場所の部屋は、家賃がいくらですか。ここが違うと、比べているのは「広い家と狭い部屋」になります
- ローンの金利は固定ですか、変動ですか。変動の低い金利が35年続く前提の計算は、持ち家に甘く出ます
- 35年後、その家はいくらで売れると見ていますか。答えが「わからない」なら、0円と半値の2通りで見ておきます
3つとも答えが出た人は、下の表の自分に近い行だけ読めば足ります。
仮の人で計算:持ち家は約8,593万円、賃貸は約5,244万円
まず物差しになる1組を決めます。金利は、住宅金融支援機構が出している【フラット35】の2026年10月の「最も多い金利」年3.83%を当てはめました。35年間ずっと変わらない固定金利です。
| 持ち家(4,000万円のマンション) | 35年の合計 |
|---|---|
| 頭金 | 400万円 |
| 買うときの諸費用(仮) | 200万円 |
| ローンの返済(月155,748円) | 約6,541万円 |
| 管理費と修繕積立金(月24,557円) | 約1,031万円 |
| 固定資産税(仮に年12万円) | 420万円 |
| 合計 | 約8,593万円 |
| 賃貸(家賃 月12万円) | 35年の合計 |
|---|---|
| 家賃 | 5,040万円 |
| 更新料(仮に2年ごと1か月分) | 204万円 |
| 合計 | 5,244万円 |
差は約3,349万円。借りた3,600万円に対して、利息だけで約2,941万円を払う計算です。金利が3%台の今、ここがいちばん重い。
金利が動くと毎月の返済がどう変わるかは、住宅ローン金利が1%上がると返済額はいくらかで3,500万円の例を出しています。今回はその先、賃貸と並べたときの話です。
答えを逆にする3つのつまみ:家賃・売れる値段・金利
約3,349万円の差は、持ち家の人の手元に35年後も家が残ることを数えていません。そこで見方を変えます。「家賃がいくらを超えたら、持ち家と並ぶか」。35年後に家が売れる値段ごとに出しました。
| 35年後に売れる値段 | 金利3.83% | 金利2% | 金利1% |
|---|---|---|---|
| 0円 | 月19.7万円 | 月16.2万円 | 月14.5万円 |
| 2,000万円(半値) | 月15.1万円 | 月11.6万円 | 月9.9万円 |
読み方は1つです。同じ広さ・同じ場所の部屋の家賃が、表の数字より高ければ持ち家が少なく済む。低ければ賃貸が少なく済む。
金利3.83%で、家が半値で売れると見るなら線は月15.1万円。家賃12万円で借りられる部屋なら賃貸でした。同じ部屋が金利1%の世界なら、線は9.9万円まで下がって持ち家に変わります。物件は同じなのに、です。
全国の家賃の水準も置いておきます。総務省の住宅・土地統計調査(2023年)では、民営の借家(非木造)の家賃は全国平均で月68,548円でした。4,000万円のマンションと同じ広さとは限らないので、ここは自分の街の募集を見て埋める数字です。
質問1で読む:「持ち家が1,000万円得」の出典はどこ?
このブログでは、お金の話に3つの質問を当てています。今回は1つ目、「その数字の出典は?」です。
「持ち家のほうが1,000万円得」「賃貸は一生で◯千万円の払い損」。こういう数字を見たら、私は3か所を探します。
- 金利は何%で、35年変わらない前提か。変動金利の低い数字を35年分かけていたら、持ち家の総額は小さく出ます
- 管理費・修繕積立金・固定資産税が入っているか。今回の仮の人では、この3つで35年に約1,451万円でした
- 比べる年数は何年か。50年で比べると、ローンが終わったあとの15年が持ち家に有利に働きます
どれも嘘ではありません。前提が違うだけです。だから数字そのものより、前提が書いてあるかを先に見ます。書いていない比較は、私は読み飛ばします。
3つ目の年数は、次の節で実際に延ばしてみます。
36年目から先:持ち家は年に約108万円ずつ追いつく
ローンが終わると、持ち家の出費は管理費・修繕積立金・固定資産税だけになります。仮の人で年に約41万円。賃貸は家賃と更新料で年150万円のまま。差は年に約108万円です。
35年で開いた約3,349万円を、この108万円で埋めるのに約31年かかります。35歳で買った人なら、追いつくのは100歳を過ぎたころ。金利3.83%の計算では、長生きしても逆転は遠い。
金利2%なら35年の差は約1,816万円に縮み、埋まるまで約17年です。ここでも金利が答えを決めています。今の金利がこの先どう動きそうかは、日銀の利上げで住宅ローンはいつ上がるかに仕組みを書きました。
損する場合:計算の外で負けるのはこんなとき
- 持ち家で損する場合:転勤や家族の変化で10年前後で売ることになったとき。返済の前半は利息の割合が大きく、残高があまり減っていません。売値が残高を下回ると、手出しで返すことになります
- 持ち家で損する場合:修繕積立金が上がったとき。今回は35年同じ額と置きました。国土交通省の資料には、段階的に上げていく積み立て方(段階増額積立方式)も出てきます
- 賃貸で損する場合:家賃が上がったとき。全国の借家の家賃は2018年から2023年で7.1%上がっています(同じ総務省の調査)
- 賃貸で確かめていないこと:年を取ってからも同じ条件で借り続けられるか。この計算には入っていません
お金だけで決めないほうがいい人もいます。子どもの学区を動かしたくない人、間取りを自分で変えたい人。逆に、勤め先や家族の人数がまだ動きそうな人。こういう事情は、3,000万円の差より重いことがあります。
私ならこうする
私なら、買いたい物件と同じマンションか隣の建物で、賃貸の募集を先に探します。家賃が分かれば、上の表のどの行にいるかが決まるからです。
次に、35年後の売値は0円で計算します。それでも持ち家が少なく済むなら迷いません。半値で売れてやっと並ぶなら、私は「得だから買う」とは言わない。「住みたいから買う」と言い直します。
金利は固定の数字で試します。変動で借りるとしても、です。甘い前提で勝っても、確かめたことにならないので。
この記事でわからないこと
- 住宅ローン控除でいくら戻るか。要件と入居の年で変わり、今日は国税庁の原文を開いていないので計算に入れていません。入れると持ち家の総額は下がります
- 頭金や毎月の差額を賃貸の人が運用したらどうなるか。将来の利回りは約束できないので外しました
- 一戸建ての場合。管理費はありませんが、修繕は自分で積み立てます。公的な平均の数字を今日は確かめていません
- 35年後にその家がいくらで売れるか。誰にもわかりません。だから2通り置きました
- あなたの街の固定資産税。評価額と市町村の税率で決まります。標準の税率は1.4%です(総務省)
お金を動かす前に、1つだけ確かめる。今回の1つは、近くの家賃です。気になる物件の近くで、同じ広さの賃貸の家賃を1件だけ調べてください。5分で終わります。
持ち家の側の計算に住宅ローン控除を入れるなら、上限を先に見てください。2026年入居の省エネ基準の新築は、年末残高が2,000万円を超えても、1年に戻る額は14万円で止まります。住宅の種類ごとの上限と、引ききれない場合は住宅ローン控除はいくら戻る?で計算しました。
その家賃は、表の「並ぶ家賃」より上でしたか、下でしたか?
よくある質問
賃貸と持ち家、35年の総額はどちらが少ないですか
前提で変わります。4,000万円のマンションを年3.83%の固定金利(フラット35の2026年10月の最も多い金利)で買う仮の人では、持ち家が約8,593万円、家賃12万円の賃貸が約5,244万円でした。家賃・金利・35年後に売れる値段を動かすと逆になります(筆者の計算、2026年10月7日)。
家賃がいくらなら持ち家のほうが少なく済みますか
この記事の仮の人では、35年後に家が0円なら月19.7万円、半値の2,000万円で売れるなら月15.1万円が並ぶ線です。金利が1%なら線は14.5万円と9.9万円まで下がります。同じ広さ・同じ場所の家賃と比べてください。
ローンが終わったあとは持ち家が有利ですか
毎年の出費は持ち家のほうが小さくなります。仮の人では賃貸が年150万円、持ち家は管理費・修繕積立金・固定資産税で年約41万円でした。ただし35年で開いた約3,349万円を埋めるのに約31年かかる計算で、金利が高いほど逆転は遠くなります。
次に読む
- 同じ分野で、続けて確かめておきたいのはこちら。表面利回り8%と実質利回りの違いは?ワンルームで手残りを計算
- 同じ分野の別の悩みも、あわせて見ておくなら、こちら。不動産の査定額は売れる値段?媒介契約3種類と根拠を聞く権利
- 同じ分野で、よく読まれている記事はこちら。住宅ローン金利が1%上がると返済額はいくら?3,500万円で計算