ネットバンキングの不正送金、補償されるのは何割?金融庁の統計
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ネットバンキングの不正送金は、2005年からの累計で35,770件・約625億円。そのうち約25%は「補償しない」と決まっています。しかも2025年度だけを見ると、補償しない割合は約68%でした。
「不正送金されても銀行が補償してくれる」。そう思っている人は多いと思います。半分は合っています。ただ、金融庁の統計を開くと、補償されない被害が思ったより多いことが見えてきます。
先に1分チェック
- ネットバンキングのログインを、メールやSMSのリンクから開いたことはありますか。あるなら、この記事は自分ごとです
- 入出金の通知(メールやアプリ)を、オンにしていますか。オフなら、最後の「私ならこうする」を先に
- 使っている銀行の「補償規定」を読んだことはありますか。ほとんどの人はありません。私もこの記事を書くまで、中身を知りませんでした
年度ごとの被害と「補償しない」割合
まず、金融庁の別紙4-1(インターネットバンキング)から、年度ごとの数字を表にします。「補償しない」は、銀行が調べて処理方針を決めた件のうち、補償を断った割合です。
| 年度 | 被害件数 | 被害額 | 補償しない割合 |
|---|---|---|---|
| 2022年度(R4) | 2,006件 | 約29億円 | 23.7% |
| 2023年度(R5) | 6,829件 | 約118億円 | 23.1% |
| 2024年度(R6) | 11,896件 | 約174億円 | 21.1% |
| 2025年度(R7) | 3,946件 | 約142億円 | 67.6% |
| 2005年2月〜2026年3月の累計 | 35,770件 | 約625億円 | 25.1% |
表で目が止まるのは、一番下の行ではなく2025年度の行です。2022〜2024年度は、補償しない割合が21〜24%でほぼ同じでした。それが2025年度に、一気に67.6%です。急です。
2025年度に何が変わったのか:わからない
当然、「なぜ急に補償しなくなったのか」を知りたくなります。答えは、資料からは分かりません。
見えているのは数字の動きだけです。2025年度は、件数は2024年度の3分の1に減りました。一方で平均被害額は146万円から360万円に増えています。補償の中身は、全額補償が1,058件、一部補償が126件、補償しないが2,465件です。2024年度は全額補償が8,977件でした。
手口が変わったのか、銀行の判断が厳しくなったのか、処理の途中の件が偏っているのか。どれも推測はできますが、推測は書かないことにします。確かめられたのは「2025年度の数字がこう出ている」ところまでです。
「補償される」の中身:条件がある
では、補償されるかどうかは何で決まるのか。ある銀行(ドコモSMTBネット銀行)の個人向けのページには、次の趣旨の説明があります。
- 補償は、預金者保護法と全国銀行協会の申し合わせ(2008年2月公表)に準じて行う
- 銀行に通知した日の30日前以降の払い戻しが、原則として対象になる
- お客さまに「重大な過失」や「過失」があると、対象外になったり、一部の減額になったりする
つまり「ネットバンキングなら必ず補償」ではなく、「状況を調べたうえで決まる」のです。先ほどの表の「一部補償」は、この過失による減額のことだと思います。ただし、金融庁の資料に理由の内訳が書いてあるわけではないので、そこは私の読みです。
銀行によって規定は違います。このページはあくまで1行の例で、あなたの銀行も同じとは限りません。
質問②「自分が損する場合は書いてある?」で見ると、金融庁の注意喚起のページ(2024年1月更新)には、補償についての記載がありません。損する場合が書いてあるのは、各銀行の補償規定のほうです。
損する場合・向かない人
この記事の数字は、ネットバンキングを使う人全員の確率ではありません。被害に遭った人の中の割合です。ネットバンキングを使うと約25%の確率で補償されない、という意味ではありません。そこは読み違えないでください。
もう1つ。金額の大きい人ほど気をつけたほうがいい、とも言えません。平均被害額が360万円の年度があるのは事実ですが、金額の分布は資料にないからです。
私ならこうする
数字を読んで、私ならやることを3つに絞ります。補償される、されないは銀行の判断なので、判断される前にこちらでできる準備です。
- 入出金の通知をオンにする。気づくのが遅れると、先ほどの銀行の例にある「30日前以降」の線にも響きます。通知は、補償の話以前に被害を小さくします
- ログインはブックマークか公式アプリから。金融庁の注意喚起も、SMSのリンクからは入らないよう勧めています(証券口座の乗っ取り対策と、入口の考え方は同じです)
- 自分の銀行の補償規定を一度だけ開く。「重大な過失」の例が書いてあるはずです。そこに自分の使い方が当てはまっていないかを見ます
それでも被害に気づいたら、まず銀行に連絡します。連絡を急ぐのは、先ほどの銀行の例のように、通知の日から30日さかのぼる線があるからです。相談先は、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811、平日10〜17時。IP電話は03-5251-6811)、警察の相談ダイヤル(#9110)、全国銀行協会の相談室(0570-017109)です。電話番号は金融庁の注意喚起のページで2026年10月17日に確認しました。
この記事でわからないこと
- 2025年度に「補償しない」の割合が上がった理由
- 2025年度の「補償しない」の内訳(重大な過失なのか、別の理由なのか)
- あなたの銀行の補償規定の細部(銀行ごとに違います)
- 10月16日に公表された金融庁の「対応状況」アンケートの中身(今日は開いていません)
お金を動かす前に、1つだけ確かめる。今回の1つは、あなたの銀行の「補償規定」のページです。
あなたのネットバンキングは、入出金の通知がオンになっていますか?
よくある質問
ネットバンキングの不正送金は補償されますか
金融庁の統計では、処理方針が決まった35,259件のうち、全額補償が24,505件、一部補償が1,904件、補償しないが8,850件でした(2005年2月〜2026年3月の累計)。補償は銀行が事情を調べて決めるため、必ず補償されるとは限りません。
不正送金の被害に気づいたら、どこに連絡しますか
まず利用している銀行です。相談先として、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)、警察の相談ダイヤル(#9110)、全国銀行協会の相談室(0570-017109)が金融庁のページに載っています。
2025年度は補償しない割合が高いのはなぜですか
金融庁の資料からは理由が分かりません。2025年度は処理方針が決まった3,649件のうち2,465件(67.6%)が補償しないでした。2022〜2024年度は21〜24%でした。
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